走行性能(ドライバビリティ)に関するもの
1) ノッキングをしない
オクタン価が不足して発生するノッキングは、出力ロスのほか、オーバーヒートや焼け付きなどエンジンに悪影響を及ぼします。
最近は、ガソリンの品質の向上で、かつてほどノッキングは問題となりませんが、人体に感じない部分でノッキングは発生しています。
現在、国内で市販されているハイオクは、一部を除いてオクタン価は100、レギュラーは90〜91のレベルです。これはリサーチ法オクタン価といって、低速域でのアンチノック性を表す指標です。これに対して、高速域でのアンチノック性を表すのがモーター法オクタン価です。JIS規格には、リサーチ法のみが規定されていますが、クルマの高性能化により、こちらも重視されています。
ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れても、ノックセンサーが自動的に働き、ノッキングを発生しないようにしていますが、走行性能は落ちます。
また、レギュラー仕様車でも、ノックセンサー付のクルマの場合、ハイオクを入れれば、パワーアップや燃費の向上が期待できます
2) 始動性が良い
エンジンを始動するためには、ガソリンと空気がバランスよく混合されていなければなりません。冬場は気温が低下するので、ガソリンが気化しにくくなり、ガソリンと空気のバランスがくずれてしまいます。そのため冬場はガソリンの蒸気圧を高くし、気化する成分を多くしています。一方、夏場は気温が上昇するので、ガソリンが気化しやすくなり、ガソリンと空気のバランスがくずれてしまいます。そのため、夏場はガソリンの蒸気圧を低く、気化する成分を少なくしています。
JIS規格では、一定の基準値を設けていますが、出光ではガソリンを使用する季節や地域特性を考えて5種類のガソリンを作り分け、きめ細かな配送を行っています。
3) 加速性が良い
加速時は、速度に応じたガソリンと空気の混合気がエンジンに供給されなければなりません。全体の沸点の低いガソリン(蒸留性状50〜70%留出温度の低いガソリン)が優れた加速性を示します。この温度が高すぎると、アクセルを強く踏んで加速するときに、ガソリンがスムーズに気化せず、レスポンスが不良となり、「息つき」等の現象が出ます。
(注)蒸留性状50%流出温度=ガソリンに熱を加え、50%の量が留出(蒸発)するときの温度、以下50%点と表記
4) 暖機性が良い
エンジンをかけてからのエンジンの暖まりやすさを暖機性といいます。エンジンが十分暖まらないうちに走り出すと、加速不良、燃料消費量の増大、オイルの希釈などの問題が起きてきます。50%点が高いと暖機が悪くなります。
JIS規格では50%点が75℃〜110℃の範囲にあれば良いとしています。しかし、出光では様々なクルマでテストを繰り返し、JISよりもさらに狭い温度範囲を設定し、レスポンスの良いガソリンを作っています。
5) ベーパーロックを起こさない
ベーパーロックとは、燃料パイプや燃料ポンプがエンジンの熱によって加熱され、パイプやポンプの中でガソリンが蒸発して気泡となり、燃料が必要量流れなくなる現象をいいます。高温時の長時間運転や高負荷運転時に起こりやすいため、夏は蒸気圧や蒸留性状を低くして、ガソリンを蒸発しにくくしています。
6) エンジンオイルを汚さない
ガソリンに灯油のような重い成分が入ると、完全に燃えずにオイルパンの中に入り、エンジンオイルを希釈させ、シリンダーの摩擦などの障害を起こすもととなります。そのためガソリンに重い成分が入らないように蒸留性状90%点を低くしています。
メーカー資料参照
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