道場本堂

GAS

燃料関連

ガソリンの詳細について 2

ガソリンの成分


原油を蒸留していくと、原油は沸点が低い順に分留されます。
常圧蒸留装置では、

蒸留ガス
軽質ナフサ
重質ナフサ
灯油
軽油
重油

と言う順で、分留されますが、灯油と軽油が分留後、脱硫装置で硫黄分を取り除けば、一応、それぞれの商品となるのに対して、蒸留だけで使用できるガソリン成分にあたる「軽質ナフサ」(直留ガソリン)をそのまま使用しても エンジンはノッキングを起こし止まってしまいます。
直留ガソリンのオクタン価は68−70ぐらいだからです。 (とはいうものの、沸点だけでの蒸留分類では様々な炭化水素が混じっていますので 更に精製・改質・分離する事によって、必要とする炭化水素をある程度特定して製品化されるのですが)
現在の商品としてのガソリンは、基材として数種類の製法の異なるガソリン成分をブレンドして作られています。
ブレンド如何によって、エンジンにとって最適なガソリンがあるわけですから、 メーカーの違いによるガソリンの品質の違いも考えられます。
排気ガスによる環境破壊を考えますと、硫黄分、ベンゼン、添加剤の成分などにも 注目してゆく必要性を感じます。


アルキレートガソリン LPガスなどからブチレン・イソブタンを原料にしてアルキレーション装置で作られているイソパラフィン系のガソリン基材。リサーチ法オクタン価100のイソオクタンを主成分。 プロペラ機用航空燃料はアルキレート+オクタン価向上剤で出来ています。RON96、MON94。 蒸留範囲
(度C)
35-200
直留ガソリン 軽質ナフサ成分。ほとんど飽和炭化水素分。 RON70、MON68。 30-80
イソガソリン 軽質ナフサを脱硫して、オクタン価の高い蒸留分を成分とする。 すべて飽和炭化水素成分。RON90、RON88。 30-50
改質ガソリン 軽質・重質ナフサを脱硫し、パラフィン系の炭化水素を接触改質装置で芳香族を主としたものに変換したもの、
当然、脱ベンゼン装置によってベンゼンを削除されているが
芳香族系炭化水素成分は68−75%含まれる。
RON103と高いが沸点も高いため冷間時の始動性は悪い。MONは92。 30-185
分解ガソリン 重油・重質軽油の脱硫したものを、分解装置で沸点の低いオレフィン系炭化水素にしている。(オレフィン成分は酸化するとガム状物質になりやすい。→酸化防止剤を参照)
オクタン価の高い軽質分を成分とした
「軽質分解ガソリン」もある。
硫黄分含有量はSOxになるため、触媒の浄化機能に影響する。
脱硫化が品質のポイントにもなる。
RON93−95、MON81−80。
30-165
(30-90:
軟質)
MTBE メタノールを原料にブタンを反応させるMTBE装置で作られているエーテルの1種。芳香族成分やメタノールと共に、ゴム、シールの
損傷に影響がある。
プレミアムガソリンにほとんど含まれる基材。
沸点が低く始動性がよく、RONも117ある高オクタン基材。MONは101。
分子中に酸素を含むため排気中のCOを低減する一方、空燃比の関係でNOxを増加させることもある。
55
ブタン 主にガソリンの蒸気圧調整に使用される。 RON94、MON90 -0.5
その他:添加剤など 清浄剤・酸化防止剤・金属不活性剤・防錆剤など −−− −−


資料参照


ガソリンに求められる性能とは  走行性能(ドライバビリティ)に関するもの  清浄性、環境性能に関するもの  
 ガソリンの品質について  ガソリンの製造方法  ガソリンの詳細について 1(オクタン価) 
 ガソリンの詳細について 2(成分)  ガソリンの詳細について 3(蒸留性状、添加剤)